オリジナルアニメ「リコリス・リコイル」感想【リコリコ】

リコリス・リコイル 感想

「リコリス・リコイル」感想【リコリコ】

こんにちは、鈴木さんです。

今回は、先日最終回を迎えた「リコリス・リコイル」の感想です。

自分は『百合』ってものがよく理解出来てないんですよね。

時代的に『百合』と言えば『薔薇』な訳です。逆に今の人にはわかんないかもしれないですね。

それでも理解する為に色々調べました。

でも、Twitterとかで、「これはいい百合」って言われても、何が百合なんだか解んないんですよね。

女性が女性を好きになるのが百合なのかと思えば、そういう関係性じゃないのも百合って言うじゃないですか?

でも、少し解るようになったのは、『Stil Sick』と言う作品の主人公の清水さんが語るシーンです。

この作品は女性同士の恋愛に発展するのですが、主人公が百合とは、って説明する箇所があって、恋愛以外の要素も『百合』って言うんだなと言うのも理解出来ました。

でもまあ、まだハッキリとは解らないので勉強していこうと思います。

この『リコリス・リコイル』も百合がどうのとか言われてるのをよく観ます。

まあ、その理由もハッキリとは解んないんですけどね。

と、いう訳で、ストーリー中毒の私は物語中心に感想を述べていきたいと思います。

リコリス・リコイル  [ リコリコ ]のストーリー

お話は、作品の世界観の説明から始まります。

日本の治安は世界で一番になっているのは、犯罪を起こそうとしている人間を、DAという組織に所属している『リコリス』という少女達が事前に処理している、つまり犯罪が起こる前に殺しているという世界。犯罪が起こらない理想のユートピアに見せかけたディストピアな街、東京の物語。

ある日、武器の取引現場で仲間を救う為に機関銃で犯罪者を皆殺しにしてしまった『井上たきな』は命令違反で、DAの支部である『喫茶リコリコ』に飛ばされます。

そこで働く同じリコリスの『錦木千束』と出会い、人間らしさを取り戻していくのが前半のストーリー。

いやね、自分、こういう成長物語って凄く好きなんですよ。

特に、『リコリス』の設定が、孤児を集めて教育して戦闘マシーンに育ててるって設定なので、幼少の頃から人間らしさなんて微塵も無い傭兵みたいな存在なんですね。だから『たきな』が『千束』と出会って人間らしさを学んで行く過程が、アンドロイドが人の心を持つ様になって行くような感じです。

後半は、いわゆるテロリストである『真島』、幼い頃の『千束』を救った『ヨシさん』、喫茶リコリコの店長である『ミカ』を交えながら、『千束』中心の展開になって行きます。

ジャンルとしては、少女が中心のガンアクションものと言ったところでしょうか。その辺あまり詳しくないので許して下さい。

でも、銃器の扱いやアクションシーンは見応えがあります。特に千束の銃を見た時に、コンペンセイター付いてんじゃん! と興奮したんですよね。そして戦闘スタイルが、『ジョン・ウィックスタイル(C.A.Rシステム)』とくれば、映画ファンなら黙ってられないですよね! あの時のキアヌ・リーブスはカッコよかったなー。今作の千束のC.A.Rシステムの構えで撃つシーンも、めっちゃカッコいいカットが多かったしね。

しかし、この『リコリス・リコイル』ってツッコミどころ満載なんですよ。最低でも1話に一回はあるんじゃないかなってくらい。

でも、それをキャラクターの魅力と、アクションの疾走感で塗りつぶすくらいの勢いで、見終わった後は満足感があって、次回が楽しみでしょうがなかったです、はい。

ここからネタバレ[ リコリス・リコイル ]

それでも12話のBパートで、あまりの展開にガッカリしたんですけどね。

それもブルーレイ全巻予約した翌日なんで、ショックは更に大きかったです。

アニメイトで予約したんで、内金払っちゃったんでキャンセル出来ないし、もうこれは最終回に賭けるしかない、ダメなら内金6000円諦めようって思ったくらい12話の展開は自分にはキツかったです。Aパートが最高に良くて、興奮度MAXだっただけに、Bパートの展開が余計厳しかった。

そして最終回。最後の最後で「ちょっと……」ってなったけど、12話の衝撃は8割くらい緩和されました。

まず、最初に言いたいのは、全話通して凄く魅力的な作品だったと自分は思ってます。ですが、ツッコミどころも多かったので、アニメ作品の中でも評価が難しい作品かもしれないと感じたりもするんです。

自分は結構色々なコラムとかで邦画は好きじゃないって言ってるんですが、その理由のひとつが、設定から心情までセリフで説明してしまう脚本と、それを更に誇張する役者の説明芝居と表情芝居なんです。観てる側にバックグラウンドや心情を想像させない様な作品造り。それが大きな理由です。そんな自分でももう少しバックグラウンドが解ったらいいなと思うところが少しありました。

[ リコイル・リコイル ( リコリコ )のここがちょっと不満

まず最初に引っかかったのが、千束やたきなが所属するDAという組織と、それに対抗するテロ組織のリーダー『真島』の存在。

DAは、明治政府樹立以前から存在する、国を守る為に創設された公的機密組織の割に、支部である『リコリコ』の店長に頼っている感じがしたり、作戦もなんか行き当たりばったりって感じで、なんか無能な組織にしか見えないんですよ。

こんな組織が日本の治安を陰から支えて来たのかって思えるレベルです、ホントに。

そして真島。最初に出てきた頃は、半グレのトップ位にしか見えないんですよね。仲間に「真島さーん」「真島さーん」なんて呼ばれてるシーンは小ボスにしか見えなくて、初めは、その半グレをキッカケに使って、後から本格的なテロ組織や、海外から来る大物組織と対決する為に出てくるザコキャラかとおもってたんですよね。

所轄の警察署長のPCが日本の最高機密であるラジアータに繋がってる

話が進んで行くと、DAは更に無能になり、真島は逆に評価を上げていくんですが、こういう展開なら、日本最強の機密組織vs国際的なテロリスト集団くらいにしないと展開的にキツイものがあります。

あと、ハッカーの『ロボ太』に言われて、DAの本部にあるAI(ラジアータ)にバックドアを仕込む為に、真島が警察署の署長のパソコンにUSBを差し込むって展開があるんですけど、政府が認める独立機関という設定なのに、所轄の警察署の署長のパソコンに繋がってるっておかしくないですか? 最終回で真島に占拠された延空木では、制御室にあるコンピューターに『リコリコ』側のハッカーであるクルミに指示されたUSBを挿してるのに、DAは外からのハッキングもされてるし、セキュリティボロボロだと思うんですよね。

衝撃だった12話の、最上の盛り上がりと落胆

まあ、他にも沢山ありますが、極め付けはさっきも言った12Bパートの、リコリスが殺人をおかしている現場を全国に生中継されたのをごまかす為に、クルミが延空木の制御室にハッキングをかけて、これまでの映像は、イベントでしたーって誤魔化す映像が流れた時に、それを見ていた人の反応です。

街中で映像を観ていた男が「騙されたわ」って笑うんですよ。それで解決した様に見せるんですね。そこで、「いや、違うんじゃない?」とか、「そんな感じに見えなかったよ」とかが一言あれば少しは納得出来る展開になったんじゃないかって思うんですよね。

そこは最終回でカバーされるんですが、脚本と言うか、プロットが厳しいんじゃないかって感じました。

そこに行く直前までは最高の盛り上がりでテンションMAXだっただけにね。

でも、そんな事どうでもいいって思えるシーンは多かったから、次回で挽回するだろうって最終回を楽しみにしてました。

リコリス・リコイル ( リコリコ )のここが好き

千束とたきなのバディとして成長していく姿

まず、たきなが千束と出会い、人間らしさを取り戻していく流れと共に、最初は「私は、あの人不安ですよ」とまで言っていた千束に心を開いて行き、ラストの旧電波塔のシーンではリコリスという立場を超えてまで助けに行く関係になって行くのは凄く良かった。自分の長年の目標である『ファースト・リコリス』(※リコリスには、ファースト、セカンド、サードと言うランクがあって、一番上がファースト、たきなは現在2番目のセカンド)を諦めてまで千束の元へ向かうんですよ。それもハッキリしていない、千束ならこうする、と言う理由で。ここで本当に信頼出来る『相棒』になったんです。

だからたきなが、旧電波塔のシャッターを破って千束の元へ駆けつけたシーンは絶対そうなるって解ってるんだけど涙が出そうになりました。この二人の関係性は、これぞバディものって感じで見応えありましたね!

銃器の設定やガンアクションが素晴らしかった。

先程も言いましたが、千束のそして戦闘スタイルが、『ジョン・ウィックスタイル(C.A.Rシステム)』。1話の時点で「おっ!?」っと思ったんですが、2話で依頼主のウォールナットと共に逃げ込んだ廃スーパーで、商品棚を駆け上がって銃を構えたシーンで、「間違いない、ジョン・ウィックだ!」ってドキドキしちゃいましたよ。それもスローモーションで狙いを付ける千束のカッコいいこと! アニメならではの名シーンと言うか名カット。

それに同シーンで、たきながスーツケースを盾にして仰向けになり銃撃を避けながら反撃するシーン。これSNSとかでは「ありえない」って意見を多く見ましたが、これはスパインとアーバンを混ぜた様なプローン射撃のスタイルで、この2つを見ただけでテンションMAXになりましたね!

それからアクションシーンをコマ送りで見たり、ヘッドホン付けて銃声を始めとしたSEをしっかり聴くようになったんですが、ブローバックの描写や画面に映っていない時でも各キャラの使っている銃の弾倉の数に合わせてちゃんとマガジン交換の音が入るとか、戦闘になる前にセーフティロック解除する音とか、凄く細かい所まで描写してるのがわかるんです。ここまで来ると、一瞬でも見落とせません。久しぶりですよ、こんなアニメ。

そして9話で千束の人工心臓の機能を狙った吉松の部下、姫蒲のいる病室へ千束を助ける為に踏み込んだたきなが、姫蒲に向かって5発発砲するんですけど、反撃に遭って一旦病室から出た時にマガジンを交換するんです。たきなが使っている拳銃は、S&WのM&P9Lをベースにカスタムしたモノっぽいのですが、装弾数は17+1発です。5発撃っても12発は残ってるのですが、瞬時にそれでは足りないと判断したんでしょう。この子プロなんだと思わせる上手いシーンですね。

そうそう、たきなの拳銃の話ですが、自分4話の射撃場で、千束が使っているミカの作った非殺傷弾を撃っていたんで、ずっとS&WのM&P.45かと思ってたんですよ。(※千束の使っている拳銃が、デトニクス社のコンバットマスターを元にしたカスタムなので、口径が.45ACPなのです、同じ弾を撃ってるのかと思ってたせい)でも11話で電波塔に飛び込んできたたきなは、真島が撃ったのを入れて17発連続で撃ってホールドオープンしてる描写があるんです。45ACPなら10+1発なので、先程の病室のシーンは弾丸数が不安だからマガジンを変える必要はありますが、12発を捨てる方がより場数を踏んでるって印象強くなりますよね。

真島がばら撒いた武器の回収が全部じゃなく半数しか回収出来なかったのも妙なリアリティがありました。「これがあったら」と言う、人間の狂気と闇の部分を上手く表現出来ていたと思います。

自分はガンマニアでもミリオタでも無いですが、ガンアクションが大好きなのもあって、映画やアニメなんかに出てくるとやっぱり目がいっちゃうんですよね。そして今作で使用されている拳銃の特徴なんかも、しっかりキャラクターに合わせてる所も流石だなと関心しました。例えば千束の使っているデトニクス。この銃は近接戦闘向きなんですね。たきなの使っているM&Pは、サードリコリスたちが使っているグロックよりも命中率がいい。などなど、監修入れてるのは伊達じゃないです。

真島と言うキャラクターが、ザコからラスボスへ一気に駆け上がっていく様

真島というキャラクターは最初はチンピラ感ありありで、テンプレ悪役っぽい芝居もあってあんまり好きじゃ無かったんですけど、ラストになる頃には好きになってました。

特に最終回で千束との会話、「(日本の)バランスをとってるだけだ」という真島の主張は、やってる事は世間から見れば悪いけど、言ってる事は正しいんだよね。千束の心臓がおかしくなった時に、「調子悪いお前とやってもつまらん」と、休憩を入れたり、そういう人間臭いところが憎めないんですよね。かと言って、その手段がテロというのを肯定する訳では無いですけど。

ただ、旧電波塔の作りがどうなってるのか解らないけど、あそこから落ちて生きてたってのはちょっと厳しかった。

ミカとシンジの関係

7話で『ミカ』が、かつての恋人である『吉松シンジ(ヨシさん)』にエレベーターの中で銃口を向けて、千束の為に、「私にはこの引き金を弾く覚悟がある」と言った時に、ミカの持っている銃は、セーフティが掛かっているんですよね(カスタムなのでハッキリは解らないが、ガバメントのセーフティと同じ位置)。つまり、引き金は弾けない。そして、「覚悟なんかある訳無いだろ」と言いながら、エレベーターで崩れ落ちる。だけど、ラストは千束の為に吉松を撃つんだよね。それも、「シンジは嘘を吐かない」と涙を流しながら。信じてるが故に殺すしかなかった、この二人の関係は本当に切なかった。

最後に、出来れば二期は作って欲しくは無いと言うのが本音です。これだけのスピード感でラストまで突っ切った作品なので、2期が出来たとしても今作を越えるのは相当難しいんじゃないかって思うんですよ。でもまあ、かなりの人気になった作品なんで、当然色々な企画は進行されるんだろうけど、結構キレイに終わったんでその印象のまま終わって欲しい気持ちが大きいかな。

色々な伏線や謎が解明されていないと言う意見も多いですが、自分は回収されない伏線は伏線じゃないと思ってるし、謎は謎でいいじゃない。そこは各々想像で補うのが作品の醍醐味なんじゃないのかな。

自分はTwitterに、「ハッピーエンドで終わってほしいけど、ニアハッピーエンドにしたら歴史に残る名作(大袈裟)になりそうな気もする」と書きましたが、ラストまで観るとハッピーエンドが似合う作品でしたね。2期もこの分ならあるんでしょう。ま、やったら観ますが、いや、間違いなく観ます。

色々と書きましたが、ストーリー的にもっとやれたのに掘り下げれなかったのは残念だし、ツッコミどころも多かったけど、自分はこの作品に出会えて良かったと思ってます。物語のセリフを借りれば、「私は君に会えて嬉しい」と言う感じです。

そして、もう一回通して観たんですが、通して観ると物語の印象が変わりますね。理解が深まったせいかもですが、更にいい作品だと思いましたし、あんなにあったツッコミどころも気にならない場面が多かったです。でもさっきも言ったようにプロットが弱いのが残念でしたね。

批判も多い今作ですが、最後に私の友人の脚本家さんが、「今ウケている作品は、今の時代に即した作品なんだ」という事を言っていましたのを思い出します。

これだけ話題になった作品も近年無かったですし、自分はこの言葉に尽きると思います。

それでは本日はこの辺で。

またお会い出来るのを楽しみにしています。

鈴木さんでした。

「 リコリス・リコイル のタイトルについて考えてみた」はこちらから

小説「 リコリス・リコイル Ordinary days 感想」はこちらから

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