映画「YESTERDAY イエスタデイ」レビュー
ようこそのお運び誠にありがとうございます。
鈴木さんでございます。
今回は2019年に公開されたダニー・ボイル監督作品「イエスタデイ」です。
あらすじ
売れないシンガーソングライターのジャックが音楽で有名になるという夢を諦めた日、12秒間、世界規模で謎の大停電が発生。真っ暗な世界でジャックは車にぶつかってしまうんです。ジャックが病院で目を覚ますと、誰もビートルズを知らない。
ライブバーでジャックがビートルズを自分の曲として歌うと評判になって、エド・シーラン(本人)に見出され、ツアーのオープニングアクトを任されるまでになり、メジャーデビューする事に。夢を叶えたジャックだったが幼馴染のエリーとの仲は微妙になっていき、というストーリー。
つまりこれはサザンオールスターズが存在しない世界
目が覚めるとビートルズを誰も知らなかった。インターネットで調べても出てこない。しかしローリング・ストーンズやデヴィッド・ボウイは存在する。でもOASISは存在しない。
わかりやすく言うと、ビートルズに強く影響受けたアーティストやバンドは存在しないで、受けてないアーティストはそのまま存在するんです。
ビートルズを経て活動していた時期のメンバーに多大な影響を受けた桑田佳祐さんはミュージックシーンに存在しないけど、エルビス・プレスリーに影響受けた佐野元春さんは一線で活躍しているみたいな感じなんです。
そう考えるとミスチルは間違いなく存在しないですし、サザンが築いてきたスタイルが無いという事は、ゴールデンボンバーや平井堅さんも……。
ファンならニヤリとするシーンが満載!
ビートルズ好き! って言う方ならここでこのシーンを入れるのか! とか、この曲がここで! とかニヤッとする場面が多いと思います。
でも、もう少しコアなファンやマニアな方は「それは違う!」って否定される映画になっちゃうんじゃないかという心配もあるんですよ。
ビートルズって扱うのかなり難しくて、その人なりのこだわりとか凄く多いし、ちょっと間違うと総スカン食らうのは当たり前で、ある意味禁断の果実な部分が大きいんです。
そう言う意味もあるのでしょうが、今作はビートルズはあくまでエッセンスで、主人公のジャックと幼馴染みのエリーのラブコメの方に主体が置かれてます。
だからと言うか、ここを掘り下げればもっと面白くなるじゃん! とか、ここスルーなの? みたいな凄く勿体無い映画になっちゃってます。
映画自体はサクサク進むし、ビートルズにこだわりが無ければもちろん観て良かったと思える作品です。
ただ詳しく無い人には、なんでこうなの? って思うシーンが結構あるんです。
なので、映画を観終わった後のモヤモヤポイントをこれからお話ししますね。
本編をご覧になる方は、ここで一旦ストップ!
また本編終了後にお会いしましょう。
さあ、いかがでした?
モヤっとしたポイントありました?
それでは一つ一つモヤモヤを晴らしていきましょう!
映画「イエスタデイ」でアレは存在しない!
主人公のジャックが仲間にイエスタデイを歌って聞かせ、皆がビートルズを知らない事に気付き、慌てて家に帰ってGoogle検索で調べます。
もちろんビートルズは調べても出て来ない。続いてアルバムのタイトルの「サージェントペパーズロンリーハーツクラブバンド」を検索するが出て来ない。
そして自分のレコード棚でビートルズのレコードを探すのですが、「デヴィッド・ボウイ」、「ベック」、「ビーチボーイズ」はあるのにビートルズは無いと言うシーンになります。
そしてまたパソコンに向かい、「ローリングストーンズ」を確認する。
しかし「オアシス」は存在しない……。
先程も言いましたが、これはデヴィッド・ボウイやローリングストーンズはビートルズにそこまで影響を受けていないんですね。でもオアシスはビートルズから続くブリティッシュ・ロックを受け継ぐバンドだから存在しないんです。
そしてビートルズがいないので、ジョン・レノンが幼い頃を過ごし、観光名所になっている孤児院「ストロベリーフィールズ」は解体されていて、「アビーロード」はなんの特徴も無い道路のイメージになっている訳です。
コカ・コーラは無くコーラは「ペプシ」。
これはコカ・コーラ発売当初、ビートルズの結成当時に演奏していた「カスバ・コーヒー・クラブ」というお店でコカ・コーラが爆発的に売れたというエピソードから来てるんです。
まあ、ビートルズがいなくてもコカ・コーラが人気無くて現代に残らなかったと言うのは飛躍しすぎですしありまないんですけどね(笑)
ちょっとしたネタでしょう。
※コカ・コーラとビートルズのお話は、コカ・コーラ社のサイトに載ってます(※リンク切れの為URLは削除しました)
煙草も存在しない
この世界には煙草も存在しません。
これは、メンバーのジョージ・ハリソンが肺ガンで亡くなっているのに由来していると監督のダニー・ボイルさんがインタビューにて話してました、ちなみに理由までは話してなかったので詳細は解らないのですが、一種の比喩表現ですね。
ハリーポッター
ラストでハリーポッターが書かれていないというのが出てきますが、これはハリーポッターの作者「J,K,ローリング」さんがビートルズのファンだったからだと思います。
ラストだったんで、次はハリーポッター書いちゃうとかのオチかもって一瞬ニヤケちゃったけど、そうなると何も学んでない事になっちゃいますから無いですよねw
まとめ
ビートルズがどれだけ衝撃的だったかを色んな意味で思い出した映画でしたねー。
自分は幼い頃からビートルズを聴いてきましたが、ハマるほどでは無かったので素直に観れました。知ってるエピソードがこの映画のストーリーにうまくリンクしたりするのも楽しかったし、ジャックが最初に「イエスタデイ」を皆の前で歌うシーンと屋上で「HELP!」を歌うシーンはうんうんそうそう! となるいいシーンです。
特に最初にイエスタデイを皆の前で歌うシーンはよかった。
聴いた皆が一瞬言葉を失うんです。
イエスタデイって曲は本当に特別で、この曲以上に完成された曲は無いっていい程で、正に降りてきた曲なんですね。
それとは真逆の意味で、エドが「ヘイジュード」の「ジュード」って意味がわかりにくいから「デュード」にしようって言ったり、今考えるとおかしいという突っ込みもいっぱいあって楽しませてくれます。
一番共感したのは歌詞が思い出せなくて悪戦苦闘するシーン。
自分も舞台とかでお話書いてきたくらいなので、サザンオールスターズよりも前の時代にタイムスリップしたらどうするかという話を考えた事あるんです。
その時に曲は完璧じゃないけどなんとかなりそうだけど、歌詞は完璧に思い出せないよなーって思ったので、このシーンはめちゃくちゃ面白かったです。
あと、エドがジョージに即興で曲を作って勝負をしようと持ち掛けるシーン。ここでジョージは「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」を歌うんだけど、その曲を聴いたエド・シーランが「生涯で最高の曲を聴いた」と、完膚無きまでに打ちのめされるんです。 この曲をキッカケにメジャーデビューへの道を掴むんですが、この曲はビートルズにとって終りに近い曲であり、メンバー同士の緊張から生まれた曲なんですね。そういうのを知っていると、このシーンってメジャーへのキッカケを掴んだシーンでもあり、これから始まる苦悩を予感させるシーンでもあるという二つの側面を持っています。
こういう感じで、全編ビートルズへの愛に包まれた映画です。
ツッコむのは野暮というもの。
話にリアリティを求めるなら、同じビートルズをモチーフにしたかわぐちかいじさんのマンガ「僕はビートルズ」がおススメです。
こちらは日本のビートルズコピーバンド「Fab4」が、ビートルズのデビューする前の時代へタイムスリップして、ビートルズの曲を発表してしまうというストーリーになっています。
タイムトラベル系大好きな自分おススメ作品です!
この作品はまた別の機会という事で。
本日はありがとうございました。
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