ようこそのお運び誠にありがとうございます。
さあ、本日ご紹介するのは東日本大震災の時に起きた福島第一原子力発電所事故を描いた「Fukushima 50」です。
原作は門田隆将さんのノンフィクション書籍「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」。
監督は「沈まぬ太陽」や「空母いぶき」の若松節朗さん。メインキャストに佐藤浩一さん、渡辺謙さん。
東日本大震災から今年で10年になりますが(ブログ執筆時)、福島原子力発電所は未だ油断のならない状況です。
震災時、自分は東京の渋谷にある地下のお店にいました。あまりの揺れに驚きながら天井の角を観た瞬間、四隅がグニャッと捩れたのを見て、「これはマズイ、生き埋めになるかも」と、階段を駆け上がって地上に出ようとしましたが、揺れが酷すぎて階段を登れずに途中で動けなくなってしまい、必死になって何とか地上に出ればビルの上の給水タンクから水が溢れ、「ああ、これは本当にマズイかもしれない」と感じました。震源地から離れた、震度5の東京ですらこんな感じだったのに東北ではどれだけ酷いと感じたでしょう。
その後、道玄坂にあるヤマダ電機で津波の状況を映すテレビ画面に呆然としたものです。
その後の福島第一原子力発電所のニュース。
どうなってしまうんだろうとネットやテレビのニュースを常に見ていました。
コンビニやスーパーでは食料品の買い占めがあったり、製油所がストップした為にガソリンの供給が出来なくなり買いだめも起こり、スタンドにも長蛇の列が出来て何時待ってもガソリンが入れられないという事態になったり、その後の計画停電があったり、デマも多く出回りました。
結構てんやわんやした思い出があります。
でも、自分らがそんな事で大騒ぎしてる時、福島原子力発電所ではこんな状況だったんですよね。
少し考えればわかるはずなのに、当時は自分らの今が優先してしまい正直どこか他人事に感じていたんでしょう。
その後、最悪の場合、東京はおろか日本の1/3が住めない状況になってしまうというのを聞いて、自分が考えていた以上に事は深刻だったんだと思いました。
そして門田隆将さんの「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」を読みました。
その内容は衝撃で、あの時自分は何してたんだろうって思うと自分が凄くくだらない人間に思えてしょうがなかったですね。
時は流れ2020年。新型コロナウイルスで緊急事態宣言が出るんではないかという事態の中、「Fukushima50」は公開されました。
映画館で作品を観て、本を読んで想像した以上にリアルに感じたんですよね。
ちなみに邦画の悪い所が沢山出ていて、全てが褒められた訳では無いと自分も思います。
ネットの感想では好意的に受け止めた方と、事実の捏造として批判する方がいました。
湾曲して伝わりかねないという部分もわかりますし、お涙頂戴や感動ありきの演出や、全てが解決したように見えるラストシーン等、「これをやっちゃダメ」と思う部分も沢山あります。
でも吉田所長はじめ原発職員の方々がここまでの状況で戦っていたという事は事実ですし、映像になった事で訴えてくる事故当時の状況は書籍では得られないと思います。
「沈まぬ太陽」の映画が公開された時に「ここまで来るのに、どれだけ大変な思いをしたかご理解いただければ」と渡辺謙さんが舞台挨拶で言った言葉を思い出しました。
この「Fukushima 50」でも東京電力は架空の社名に変わっているし、登場人物も吉田所長以外は仮名です。
チェルノブイリ原発事故を描いたアメリカのテレビシリーズ「チェルノブイリ」の様に実名で真実を追求するような作品は今の日本では出来ないかもしれない。
でも東日本大震災の時、福島にある原子力発電所で自分の命を賭して作業に当たった職員の方々がどういう状況の中、どんな思いで作業に当たったのかは映画から伝わって来ます。
だから日本で生活している人は観て欲しい。
そして今普通に生活していられるのには本当に幸運であった事を実感して欲しい。
その影には自らの命を掛けて対応にあたった人達がいるという事を忘れないで欲しい。
大作という事で入りやすいこの映画をキッカケに今の福島の事や色々な事を知るキッカケになればいい。
そう思うんです。
最後にアメリカ軍が、「日本は911の時に真っ先に駆け付けてくれた。」と、派兵を決めたシーンは、後に被爆して健康被害にあったという事を知っているだけになんともいえない気持ちになりました。
そして資料を読めば読むほど、原発安全論を広めていた政府は勿論の事、東電や広告代理店、新聞、テレビを含めたマスコミの罪は重いと感じます。
<追記>
この『Fukushima50」を観て頂いた後に観て欲しい作品が「太陽の蓋」という作品。
どちらがいいと言う訳ではありません。両作を観たからこそ思う気持ちがあります。
Fukushima50が現場を描いた物語なら、この「太陽の蓋」はFukushima50では描かれていない政治の現場を描いた作品。正に裏と表です。
ベントをしないと爆発してしまうと言う状況下、当時の首相である菅直人前総理がヘリで乗り込む事を知らされ、吉田所長が怒りを爆発させる場面。
Fukushima50では描かれなかった「官邸側が何故そう言う行動に出たのか」が太陽の蓋では描かれています。まあ、実際に邪魔になったのは確かな事なのでしょうが、Fukushima50の裏で何が起きていたのかが解れば、より一層この事件に対して理解が深まり、映画と言うエンターテイメントで描かれた大作を観る上で正しく理解する事が出来るのではないでしょうか。
※2021年3月。以下のリンクにあるように、映画館にて特別上映があります。
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