【何を見ていいか悩んだ時に見る映画】ぼくとアールと彼女のさよなら

先日何気なくレコーダーの録画リストを見たら見慣れぬタイトルの映画が入ってました。wowowでやっている日本未公開を放映するジャパンプレミアという枠でやっていた「ぼくとアールと彼女のさよなら」という映画です。

この映画が意外にも面白く、完全に引き込まれてしまったので紹介させていただきます。

 

日本未公開の映画=ビデオスルー

日本未公開とはいえネットで調べてみるとビデオスルーにはなっているらしく、少しだけですが情報はありました。

ちなみにビデオスルー(DVDスルーとも言います)とは、海外では公開されたけど日本では劇場での公開がされずにDVDでひっそりと販売された作品になります。イメージとしてはホームセンターのワゴンで売ってるような作品かな。

 

だからイメージはちょっと悪かったし観ようか悩んだんですよ。でも観て大正解でした! 是非とも観て頂きたいと周りに勧められる映画です。

過去にも「ハートロッカー」のパチモンみたいな「ハートアタッカー」って作品があって、これもビデオスルーだったんだけど、とってもいい映画だったんで、そういう良作に当たるかもと思いネットで調べてみると意外に高評価。これはちょっと観てから決めようってことで再生したんですがこれが良かった!

あらすじ

高校生のグレッグは、学校では上手く振舞ってはいるが、自分の居場所とは程遠いと感じていて、友人のアールと名作映画のパロディを作ったりして過ごしていた。ある日母親から幼馴染でもあるレイチェルが白血病にかかった事を告げられ、話し相手になるよう強制される。幼馴染と言っても、話もしていなかった関係のレイチェル。はじめは戸惑うが、次第に打ち解けていき、アールも含め三人で話すようにまでなる。しかしレイチェルの病気が悪化していき、グレッグは彼女の為にアールと三人で映画を作ろうとするのだが……。

死んでから知るということ

主人公のグレッグ性格はとにかくシニカルで、ことなかれ主義に徹底する事で平穏無事な学生生活を送る無気力極まりない人間でして、観ていて「あー、いるわこういうヤツ」と誰もが思うタイプです。

今の自分なら、「お前は自分の意見とかないんか! ヘラヘラしやがって」と怒りそうですが、正にこの男は若い頃の自分だったりします(笑)

ていうか、この主人公って今のネットをやってる人達は結構共感できるんじゃないかな?

そんな彼が母親に頼まれて白血病になった彼女、レイチェルに会いに行き、拒む彼女に言った一言が「母さんに怒られるから一緒にいてくれ」だもんね。この時点で彼のキャラクターは完璧になったよ。

それはそうだ。ドラマなら悲劇のヒロインに寄り添う主人公を想像してしまうけど、現実にそういう状況、しかも顔見知り程度の女の子が思い病気にかかって伏しているところに行けと言われても重荷でしかないだろう。この時点で完全に物語にハマったと言っていいですね。

普通闘病ものといえば、頑張るヒロインに支える彼氏。最後はお涙頂戴の悲劇の感動ストーリーと決まっているんだけど、この作品はそうじゃない。

説明にはコメディと書いてある程だ。コメディと言っても爆笑するような作品でもない。いたって普通にストーリーは進む。時にニヤリとさせられるのも実にシニカルな笑いだ。

日本では死というものをなんか特別なものとして描く作品が多い。泣かせようとするあざとさが前面に出てきて不自然極まりない作品ばかりだ。だから邦画はつまらないし自分もそのイメージが強かったせいか、あんまり気乗りしなかったんだよね。どうせお涙頂戴の恋愛絡みのクソ映画だろって。

でもこの作品に恋愛要素は出てこない。死というものに直面した物事を斜めに見るような高校生の男がほんの少しだけ成長する物語。

彼が初めて進撃に人と向き合った物語。

それが故リアルなんだ。

前半にこんなモノローグがある。

「彼女は死なない」

そしてその言葉は物語が終わった後に静かに観たものに語りかけてくる。

ラストは「フィラデルフィア」に通ずるような感動に包まれました。これは是非観ていただいて実際に味わってください。

まとめ

ラスト私はもう涙を堪えることが出来ませんでした。

映画っていいな。そんな思いになれる優しくも愛おしい作品です。

ぼくとアールと彼女のさよなら(特別編) [DVD]

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