ようこそのお運び誠にありがとうございます。
鈴木さんでございます。
アニメやドラマのジャンルで「お仕事系」というのがあるんですけど、これが知らない世界だったり、興味ある業界の裏側が知れたりして自分結構好きなんですよ。
今回お話しする「SHIROBAKO」はそんなお仕事系のアニメで、アニメ制作スタジオで働く人たちを描いた群像劇になります。
アニメに限らずドラマや映画でも制作の裏側って興味ありますよね。DVDとか買うと、特典ディスクに付いてるメイキングとか見入っちゃいますもん。
もちろんドラマ作りの嘘はあるし、作品で描かれているのが全て真実じゃないのは解るんですけど、脚本の直しだったりダビングとか、いつも観てるアニメがどうやって出来ていくかっていう行程が描かれているのは凄く興味深いし、スタッフロールでプロデューサーとか進行とか美術とか、役職はよく見るしなんとなくは解るけど、ハッキリとは解らない仕事の内容とかが描かれてたり、アフレコでの声優さんと音響さんや演出とのやり取りなんかも面白い。
最近twitter音響監督さんが声優さんに「今のままだとちょっとお姉さんっぽいから一歳年齢さげてくれる?」と指示して見事に演じたというのが話題になりましたが、このツィート見た時に自分は「SHIROBAKO」思い出したんですよね。
知れば知るほど面白くなるのがこのお仕事系アニメのいいところなんですよね。
さて、物語は二つのエピソードで構成されています。
前半は主人公「宮森あおい」を中心にオリジナルテレビアニメーション「えくそだすっ!」を制作する話。そして後半は人気ライトノベル「第三飛行少女隊」を制作するお話です。
前半ではアニメーション作品を制作する過程やキャラクター造形。制作に関するトラブルなどを交えて進み、後半では原作付きの難しさや権利関係、そこに巣くう人間達をドラマティックに描いていきます。
アニメ好きはもちろん、今仕事に行き詰まってたりストレスが多い人にも観て欲しい作品なのです。
ここからネタバレ
アニメって同じクールで何十本も放映されるじゃないですか。
なので自分は1話の時点で結構切るんです。
速いので最初のCMに入るまで。もしくはオープニングの曲に入った位で観るのやめちゃう作品が多いんですよ。
実はこの「SHIROBAKO」。1話終わった時点で次観ようかちょっとだけ悩んだんですよね。
第1話を観てもらうと解るんですが、はじめに詰め込みすぎちゃってて、登場人物の相関関係とか解りづらいし、なんかゴチャゴチャしちゃってるんですよ。これこのまま続いたら厳しいかもって思って観た2話「あるぴんはいます!」。
声優さんの芝居を見た監督の木下が作画のリテイクを指示した所からスタッフ間でキャラクター設定の再確認の打ち合わせがあるんですが、ここで監督の木下が「あるぴんはいるんだよ!」って熱く語るんです。
やっぱりね、アニメやドラマとかの裏話とか聞く機会あるんですけど、やっつけだったり金に意地汚い連中がいる現場とかの話も聞く訳ですよ。だからこそ、こういう「キャラクターは本当にいるんだ!」っていうような人にこそ作品を作って欲しいと思うんですね。このシーンで「いや、これは絶対名作になるよ!」って思ったんです。
他にも第6話「イデポン宮森 発動篇」で、手書きで作画するところを3Dの出来を気に入った監督の3Dで行こうという決定を、担当である高梨のせいで作画班VS3D班の戦いにまで発展しちゃうんですけど、物語として解決した後に作画と3Dが合わさった動画で絞められてるんですね。
こういう心に響く展開やシーンが満載で、アニメ好きな人はもちろん、クリエイターを志した人なんかはど真ん中にぶっ刺さります。
他にも前半で主人公が経験が足りずにミスを言えないでいて、上司がそれに気付いてカバーするんだけど、それがまたパッパッと各人やる事決まっていくんですね。これがまた新人のあおいとの対比を見せていて、スペシャリストだなって感じさせてくれたり、作品のピンチにロートルだと思われていた人が意外な活躍を見せたりとドラマとしても面白いし、ラストへ向かっていく盛り上がり方も素晴らしいです。
そしてここは絶対に共感してもらえると思うんですけど、主人公の仲間5人はそれぞれ目標があるんですね。
最後に第三飛行少女隊「ルーシー」の妹役に選ばれたしずかがドアから入ってくるシーン。
わかってるんですよ! もちろんわかってますよ! そうならないとお話が成り立たないってわかってるんですけど、ここはマジであおいと同じ気持ちになっちゃいますよ。もうボロ泣きですよ。そうですよね? ね?
5人が目指す中でも声優って一番狭き門なんですよね。他の仕事は大成するかは別として、努力すればなんとか関わる仕事には付けるし、お金や生活を別にすれば業界にいる事も出来るんです。
でも声優だけは違うんです。運やタイミング、コネクション等、様々な要因が絡み合って、努力や根性だけではなれない職業です。
だからこそ、最後にドアが開いた時、もう我慢出来なかったです。
一つの作品にたくさんの人が、それぞれの思いを乗せて切磋琢磨して作り上げた作品。
そういう作品を観たいし、この「SHIROBAKO」に出てくるような強い思いで作られた作品に出会えるって最高の喜びだと思うんですね。
そしてこの「SHIROBAKO」もそういう志を持った制作陣の作った熱い作品だと思うのです。本当にこの作品に出会えてよかった!