ようこそのお運び誠にありがとうございます。鈴木さんです。
「刷り込み」って解ります?
これは「ひよこが生まれて初めて見た物を親だと思う習性」を表す言葉なんですね。
長く続くシリーズにも同じ事が言えまして、例えばスターウォーズ。オリジナル・トリロジーこそ真のスターウォーズと言って聴かない人もいれば、ファントムメナスから始まる旧三部作で初めてスターウォーズに出合った人なんかは、旧三部作こそ至高と思う訳です。そして今や時代は過ぎて、フォースの覚醒から始まるシークエル・トリロジー(新三部作)から見始めた世代も出てきてるんですよね。
正に三世代が激論を繰り広げる銀河戦争の始まりです(笑)
他にも007シリーズなんかそうですよね。
自分はスターウォーズはオリジナルを今は無き日劇にロードショーを観に行った世代なのでオリジナル・トリロジーが中心ですし、007はロジャー・ムーアが好きです。ちなみにロジャー・ムーアの声優さんは広川太一郎さんで決まりですよ。あの甘い声の伊達男ってイメージは広川さんしか出来ないですよね!
アニメでもガンダムなんかは結構割れますよね。自分はモロにファースト世代ですが(笑)
そして今日お話しする「ルパン三世」も結構意見が割れるシリーズです。
大まかに分けると、
- ファーストシリーズこそ至高
- カリオストロが一番
- ルパンはやっぱりセカンドシリーズでしょ!
- 全部好き
こんな感じじゃないでしょうか?
ちなみに私はファーストを再放送で観て好きになってセカンドシリーズリアタイ族です。
なので劇場版ルパン三世第一作「ルパンVS複製人間(クローン)」は封切時のサブタイトル無しの時に観てますし、「カリオストロの城」も封切で観に行っている希少な人間です(笑)
パート3や「バビロンの黄金伝説」辺りで一度アニメから離れたのですが、「風魔一族の陰謀」で声優総入れ替えに驚きつつ映画館に行った思い出があります。
声優入れ替えもあって不評な「風魔一族」ですが、古川登志夫さんはじめ新キャストは素晴らしく、役者としての底力を感じました。お気に入りの作品です。
なんか昔も今も自分が気に入らないと叩くのは変わらないですね。レビューや感想じゃないんですよね。気に入らないから文句言いたいだけ。そう考えると寂しいです。
そんな私ですが、ちょっと苦手なのはテレビスペシャルのシリーズ。
なんていうか、ちょっと超人的なんですよ。
さっきも言ったように自分が最初に見たのはファーストシリーズ、緑ジャケットのルパンです。
最初のシリーズって前半は完全な大人向けで、途中からテコ入れくらったとしても全体的にリアルさを感じれる作りなんですね。もちろん斬鉄剣の設定とかタイムマシンとか出てくるんだけど、今の自分たちがこういう場面に直面したらリアルに感じられる範囲で作ってあるんです。だからこそカリオストロでのカーチェイスやジャンプしてお城の塔を飛び歩きクラリスのいる塔にへばりついたシーンは笑えるんですよ。でもテレビスぺシャルはそういうの多過ぎて「またか」ってなっちゃうんですよね。2ndシリーズから続く悪癖です。
あとゲストヒロイン制度。
これは007のボンドガールみたいな感じなんでしょうが、峰不二子の存在意義がおざなりになっちゃってる感じがしてイマイチなんですよ。
そういった意味ではPart4、青ジャケルパンはよかった。不二子との関係も納得行くものだったし超人展開もそこまでじゃなく人間ドラマをしっかり描いてた。
あくまでも自分の好みですけどね。
そういう意味での私的「ルパン三世 THE FIRST」の感想は、テレビシリーズのCG版って感じです。
だからテレビシリーズ好きな人は楽しめると思うんです。
でも緑ジャケットのルパンが好きっていう人は難しいと思ううんです。
あと、カリオストロの城を連想させるシーンが多く出てきました。これは監督の山崎貴さん曰く、同作が大好きという事らしいですが、正直こういうのいらないですよ。
このインタビュー読めば、この作品はなるべくしてこうなったというのが解ります。
「どうしても、“カリオストロ愛”が漏れでてしまいました(笑)」
カッコ(笑)じゃねえ! そんなもんコンビニのごみ箱にでも捨ててしまえ!
何かのインタビューでカリオストロの城をCGでリメイクしたいと言ってたのも見たのですが、リメイクや続編って前作を超えないとやる意味がないと自分は思うんですね。だからこの「THE FIRST」を見る限りでは厳しいんじゃないかな? それでも企画を進めるようであれば、それはもう監督の自己満足、エゴですよ。「カリオストロ愛が爆発しちゃって」とか言ってるウチは、完成された作品と言われてる宮崎駿監督の「カリオストロの城」を超えられるはずはないです。ね。クリエイターなら、俺のルパンこそ一番って言う作品を作り上げるのが本筋じゃないんですか? こんな劣化コピーみたいな作品を作っちゃった時点でまあ無理そうですが……。
オマージュやリスペクトという部分では、ファンからは酷評されてるけど、「イタリアン・ゲーム」が上手くやっていて凄く好感持てます。いや、イタリアン・ゲーム観てこれが作品に対してのリスペクトでありオマージュなんだというのを解って欲しいレベルですよ。
なんていうかな、自分ドラクエやってないので同じ山崎貴監督作品である「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」に対してはそこまで嫌悪感は無いんですけど、同じくアニメ原案の「SPACE BATTLESHIP ヤマト」は、ストーリーもハチャメチャなのに、アニメの印象的なシーンが脈絡もなく入ってきて、「みんなこのシーン好きだろ?」ってドヤってる感満載の意味不明な作品に仕上がっててがっかりしたのを覚えてます。
この「ルパン三世 THE FIRST」も「こういうの好きでしょ?」「ルパンってこうでしょ?」「やっぱりこのシーン入れなきゃね」とか思ってるのが本当に透けて見えるんですよ。
あと、感覚が古いのかな?
次元がさ、コンバットマグナム(拳銃)を斜め撃ちするシーンや、レーザーが四方に張り巡らせてる中掻い潜るシーンなんて今時ですよ、こんなシーン入れるとか何考えてるの? って思っちゃいましたよ。昭和ですか?
そういえばリターナーでもやってたね、拳銃の斜め撃ち。絵面的に好きなのかな? マグナムでやったら大変な事になるのルパン観るような層ならみんな知ってるから失笑にしかならないと思うんだけどな……。そう思いません?
ていうか自分とあんまり年変わんないんだけど山崎監督……。
冒頭でも話したように、これだけ長いシリーズになると、それぞれ求めるルパン像が違ってきます。全員、皆を納得させるのなんて無理なんです。
かつて宮崎駿監督が、2ndシリーズの時に「こんなのルパンじゃない」と「カリオストロの城」、「死の翼アルバトロス」、そして今までのルパンは全部偽物だったんじゃないかという「さらば愛しきルパン」になったように、過去の作品や皆の好きだろうなというルパン像に囚われず、「ルパン三世」という作品の空気感だけを大事にして、山崎監督自身が思う最高のルパンを描いてシリーズの最高傑作を作ってもらいたかったと思うのです。それこそがルパン愛であり、ルパンに限らず原作を持つ作品を作るクリエイターとしての責務だと思う鈴木さんであります。
先程話に出ましたが、ボロクソに言われてる「SPACE BATTLESHIP ヤマト」ですが、自分はこう観たら面白いんだよって友人たちに勧めてる観方があるんです。
でも、それはまた別の機会に。